エアコン水漏れトラブルで稀にあるのが、配管や配管カバー、配管が貫通している壁の辺りから水が漏れてくるというものです。
エアコンからの水漏れの原因は色々とありますが、水漏れの量としてはそこまで多いものではなく、エアコンを動作させているとジワーっと水滴が滲み出てきているというレベルの場合、ドレンホースや冷媒配管の結露が主な原因となります。
今回は、そんなエアコン配管からの水漏れ原因とその具体的な対処法について詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
エアコンに繋がっている配管の種類とその役割
エアコンの室内機から出ている配管は、2本の冷媒配管(細い銅管と太い銅管がセットになって断熱材に包まれている)とドレンホース(蛇腹状のもの)があります。
冷媒ガスが流れる2本の銅配管
エアコンに繋がっている2本の銅配管は冷媒ガスが流れている配管となります。
冷房運転の場合、細い方の配管は室外機から室内機に向かって冷たい冷媒が流れていて、太い方の配管は室内機から室外機に向かって冷たい、またはぬるい温度の冷媒が流れています。
結露水が流れるドレンホース
もう一つが、室内機側で発生する結露水を屋外に排出するためのドレンホース配管です。
ドレンホースの出口部は室外機のあたりに配置されていることが多いですが、このドレンホースをさかのぼっていくと、室内機から伸びてくるドレン配管と接続されています。
エアコンの冷房運転やドライ運転を行った場合、このドレンホースに室内機の中にあるアルミフィン熱交換器で発生する結露水が流れ混んでいきます。
特に夏場(7~8月)など、エアコンがフル稼働する状況の場合、一日で十数リットルもの低温の結露水が発生してドレンホースに流れ込むため、ドレンホース表面も低温になることがあります。
配管が結露する原因は配管の表面温度が低いから
エアコンの水漏れは、ドレンホースが何らかの理由で詰まったりして行き場を失った水がドレンパンから溢れてきたり、ドレンホースの接続部が外れていたり、ドレンホースが破れたりしてしまっていて、そこから水が漏れてくるというのが一般的です。
上記のような水漏れ原因の場合、エアコン室内機本体辺りから大量の水が漏れてきてしまうことになります。
ですが、今回紹介しているような配管表面に薄っすらと水滴が付くというような症状の水漏れは、冷えた配管の表面で結露が発生し、その結露水が垂れて染み出してきてきてしまっているのが原因となっています。
上の写真は蛇腹状のドレンホースに薄い断熱シートを巻きつけ、その上からビニールテープを巻いている部分に結露が発生している写真です。
このドレンホースには一応薄い断熱シートが取り付けられていましたが、断熱性能(断熱材の厚み)が足りておらず、内部を流れている冷たいドレン水の冷たさが一番外側に巻かれているビニールテープ部の表面に伝わり、表面温度が下がってしまっていました。
これは夏場、氷を入れたコップの表面(温度が低い場所)に結露水が発生するのと同じ原理です。
このような原理で発生した結露水が配管を伝って流れていくと、配管カバーから漏れてきたり、壁の貫通部の周りなどが濡れてくるという水漏れにつながります。
上記の例はドレンホースに関しての話ですが、冷媒ガスが流れる銅配管でも同じように結露水が発生する可能性があります。
ただし、冷媒配管の方には分厚い断熱材が必ず巻かれているため、その断熱材が破れたり、つぶされたり(断熱材の厚みが薄くなったり)していなければ、基本的には結露するまで表面温度が下がることはありません。
ごく稀なケースとして、配管を曲げて壁の穴に通すような状況で冷媒配管が貫通穴に強く押さえつけられて断熱材が潰れ、その部分で結露が発生していたということはあったりしましたが、冷媒配管の表面に結露が発生するのは本当に稀なケースとなります。
配管結露の対処法は厚みのある断熱材取付か、断熱タイプのドレンホースに交換
このドレンホース配管の結露は、室内に配管が見えていない取り付け方だと発生することはほとんどありません。
というのも、上記のようなエアコンの裏側で配管が壁を貫通している場合、室内機から伸びているドレンホース(分厚い断熱材付き、約1m弱)が室外まで伸びていて、延長用のドレンホースの接続部は室外側となります。
この場合、その延長用のドレンホース(断熱材なし)に結露が発生したとしても室外側で水が垂れるだけとなりますので、水漏れによる被害はほとんどありません。
上記のように室内側に配管が見えているような場合(または壁の中を配管が長距離配置されている隠蔽配管のような場合)、延長用のドレンホースの接続部は室内側となってしまいます。
屋内、または壁内、貫通部のドレンホースに適切な厚みの断熱材が巻かれていない場合、結露で発生した水が室内、または壁内で発生することになります。
このような室内側のドレンホースの結露対策には、冷媒配管に使われているような厚みのある断熱材をドレンホースの上に巻きつけ、その上から幅の広いビニールテープを隙間なく巻きつけていく方法が有効です。
少し部品代は高くなりますが、室内配管部には断熱タイプのドレンホースに取り替えることで、結露の発生を防ぐという方法もあります。
どちらの方法を選択するかについては、業社の人と相談しながら対費用効果を考えて決めていくのがいいでしょう。
まとめ
今回は、【結露が原因】エアコン配管から水が漏れる原因と修理対処法についてお話しました。
エアコン配管の結露が原因の水漏れ症状は、室内の配管や壁貫通部辺りに少しだけ水が垂れてくるのが一般的です。
漏れてくる水の量自体は少ないですし、夏場の冷房がフル稼働しているとき(ドレン水が大量に発生している状況)しか発生しないということもあり、修理せずにそのままにしている人も多いのではないかと思います。
ただ、水漏れの量は少なくても、その水が壁などに染み込んだ状態のままにしてしまうと、そこにカビが発生したり、壁紙クロスが剥がれてきてしまうこともあります。
エアコンの水漏れ修理は早めに対応しておくことで安心してエアコンが使えるようになるだけではなく、余計な修繕費用の発生を抑えることもできます。
ただ、エアコン修理業社に実際に問合せてみてもらうと分かるのですが、夏場のエアコン修理は予約の取り合い状態になっていて、1日予約する日が遅れてしまうと修理の予約日が3~4日遅れていってしまいます。
早くエアコンを直してもらいたい場合は、最低でも2~3社ほどエアコン修理の問い合わせを行い、一番はやく対応してくれる業社を見つけ出す努力が必要です。
あの快適なエアコンライフを取り戻すため、まずは修理業者に「いつ来てもらうことができるか?」ということを問い合わせることからはじめていきましょう。