急にエアコン辺りから水が漏れてきたらびっくりしてしまいますよね。
エアコンからの水漏れの原因はエアコン本体の故障による(エアコン内部で発生した水が漏れてくる)ケースが多いのですが、中には屋外で降った雨が室内に入り込んできてしまうケースもあります。
ここで知っておいてほしいことは、雨漏りが原因のエアコン水漏れは、壁紙の黒ずみや壁内、床板の腐食の原因となったりする可能性があるということです。
今回は、雨漏りが原因のエアコン水漏れ症状やエアコン本体故障との見分け方などについて詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
雨漏りが原因のエアコン水漏れの2つのパターン
雨漏りが原因の水漏れは2つのパターンに分けることができます。
原因 | 修理方法 |
①スリーブ穴の不具合 | 防水処理の再施工 |
②配管断熱材の劣化 | 配管部材の補修 |
【原因①】スリーブ穴の不具合が原因の水漏れ
エアコン水漏れの原因としてよくあるのがエアコン配管を通すためのスリーブ穴からの雨漏りです。
スリーブ穴の不具合が原因の水漏れメカニズム
エアコンは銅配管の中を流れる冷媒ガスが室内機と室内の間を行き来する事によって、部屋を冷やしたり温めたりする冷暖房を行う仕組みとなっています。
そのため、エアコンを設置するためにはその冷媒ガスを流すための配管を通すための穴(スリーブ穴)を壁に空け、そこに配管を通す必要があります。
部屋毎のエアコン取付位置はおおよそ決まっていることが多いため、エアコン専用のコンセントは住宅に据え付けられていることがほとんどですが、スリーブ穴についてはエアコンの形状や配管の取り出し位置はメーカーや機種によって様々であるため、エアコン取付のタイミングでエアコン取り付け業者がスリーブ穴を施工するのが一般的です。
雨水が侵入しやすいスリーブ穴と配管の隙間はパテやシリコーンコーキングで防水処理を行いますが、シール材の経年劣化などが原因でこの部分に隙間ができてしまうことが原因で雨が室内に侵入してくることがあります。
特に、エアコンの配管カバーを取り付けていなかったり、スリーブ穴が逆勾配(室内の穴のほうが室外の穴より低い状態)になっていたりする場合、配管も室内より屋外のほうが高い位置にある逆勾配になっていることが多く、雨水が配管をつたって室内側まで流れやすい状況になっていますので注意が必要です。
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ症状
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ症状は以下の通りです。
項目 | 内容 |
水漏れ箇所 | ・壁貫通部 |
水漏れ量 | ・少量 |
水漏れ頻度 | ・たまにしか起こらない |
水漏れ 発生条件 | ・雨が降った時のみ |
水漏れ原因 特定方法 | ・スリーブ穴のパテやコーキングが劣化している ・スリーブ穴が逆勾配 ・ドレンホースから排水はある ・ドレンパンに水が溜まっていない ・エアコンの効きは良い |
今回の水漏れ原因はエアコン本体の故障ではないため、エアコンの動作に関わらず水漏れが発生することがあるのが特徴です。
特に、雨が降ったときだけエアコン配管の壁貫通部あたりから水が漏れてくるという場合は、スリーブ穴を通して雨水が室内に侵入してきている可能性があります。
エアコン設置から数年が経過してパテやコーキングなどの防水材が劣化してきていたり、スリーブ穴が逆勾配となっている場合はここから雨漏りしている可能性が高まりますので、そういった部分もチェックしてみてください。
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ修理方法
スリーブ穴からの雨水の侵入が水漏れの原因である場合、屋外側のスリーブ穴の防水処理を再施工することでエアコンの水漏れは収まります。
なお、雨風の強い側の壁面にスリーブ穴を開けている場合、配管カバーを取り付けてスリーブ穴を隠すことで雨水の侵入を防ぐ効果もあります。
エアコン取付直後から雨漏りする場合は、そのエアコンを取り付けたエアコン業者が自社保証の範囲内で無償修理してくれますが、取付から数年が経過した後の雨漏りについては自己負担で修理していく必要があります。
このエアコン水漏れの特徴は、雨の日にたまに水漏れしているだけなのでエアコンが壊れて動かないというわけではなく、エアコン修理を後回しにしてしまうケースが多いという点です。
雨漏り修理を放置してしまうと、水で濡れてしまっている壁のクロスが黒ずんできたり、壁の中の建材が腐食してしまいってしまいます。
単なるエアコン故障より大掛かりな修理が必要となってしまうこともありますので、早めに修理依頼していくことをおすすめします。
【原因②】配管断熱材の劣化が原因の水漏れ
稀なケースですが、室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置しているケースにおいて、冷媒配管断熱材の劣化部分から侵入した雨水が冷媒配管と断熱材の間を流れ、室内機本体部分で漏れ出てくることがあります。
配管断熱材の劣化が原因の水漏れメカニズム
室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置した場合、冷媒配管は上記のような形で配置されることになります。
そして、設置から数年が経過すると、冷媒配管を保護しているビニールテープや断熱材が劣化して破れ、銅配管が露出してきます。
この状態で雨などが降った場合、銅配管と断熱材の隙間に雨水が入り込み、エアコンの室内機側まで流れていき、その部分で雨水が漏れ出してくることがあります。
配管断熱材の劣化が原因の場合の水漏れ症状
配管断熱材の劣化が原因の場合の水漏れ症状は以下の通りです。
項目 | 内容 |
水漏れ箇所 | ・本体底面 ・壁面 |
水漏れ量 | ・少量 |
水漏れ頻度 | ・水漏れする時としない時がある |
水漏れ 発生条件 | ・雨が降った時のみ |
水漏れ原因 特定方法 | ・屋外配管が劣化している ・ドレンホースから排水はある ・ドレンパンに水が溜まっていない ・エアコンの効きは良い |
配管断熱材の劣化が水漏れ原因の場合、雨が降ったときだけエアコンの底面や壁面あたりから水が漏れてくるのが特徴です。
配管断熱材の劣化が原因の場合の水漏れ修理方法
配管断熱材の劣化が水漏れの原因である場合、屋外配管の劣化部分を補修(断熱材の交換、ビニールテープの巻き直し)します。
配管カバーを追加してエアコン配管に雨水がかからないようにしておくと、こういった雨水が原因の水漏れを予防することが可能です。
エアコン修理はメーカーサポートや購入元販売店に修理を依頼することが一般的ですが、こちらの場合もエアコン本体が水漏れの主原因ではないため、水漏れ修理はエアコン修理業社に依頼するのが基本となります。
特に、配管断熱材の劣化による水漏れの場合はエアコン設置から10年近く経過してきている可能性もあるため、エアコンの取替えについても少しづつ考えていく必要がある時期となります。
まとめ
今回は、雨漏りが原因のエアコン水漏れ症状と具体的な修理方法についてお話しました。
雨漏りによるエアコン水漏れの特徴は、雨の日に限ってエアコン周りから水が漏れてくるという点です。
エアコン故障による水漏れではないため修理を後回しにしがちですが、そのままにしておくと壁紙クロスにカビが生えたり、壁内や床板の建材が腐食してしまって大掛かりな修理が必要になることもあります。
また安心で快適なエアコン生活をしていくために、早め早めの修理依頼をおすすめします。