エアコン水漏れ修理の具体的な方法
ここからはドレンパンが詰まりが原因のエアコン水漏れ修理の具体的な方法(3種類)についてお話していきます。
【水漏れ修理方法1】サクションポンプによる詰まり除去
エアコン水漏れ修理でよく登場するのがサクションポンプ(手動式真空ポンプ)と呼ばれる道具で、ドレンホース内に詰まった汚れを吸い出すことができます。
具体的な修理手順としては、まず、エアコン室内機の吹出口周りにビニール袋をかぶせていきます。
これは作業中に水が逆流して室内機から溢れてきたときに部屋に水が溢れてこないようにするための対策となります。
念のため、室内機の真下の床あたりに雑巾などをたくさん敷いておくとより安心です。
次に、サクションポンプを室外側にあるドレンホースの先端に挿入します。
サクションポンプの使い方のポイントは、引っ張るときは素早く、押すときはゆっくり操作するか、サクションポンプを取外して押すことです。
というのも、速いスピードで押し込んでしまうとドレンホースにたくさんの空気が一気に吹き込まれてしまってたまっている水が逆流し、室内機から水が漏れてきてしまうことがあるからです。
ですので、サクションポンプを操作するときは、引っ張るときは素早く、押すときはゆっくり、または取外して行うことを意識して作業していきましょう。
レバー動作 | 動作 スピード | 理由 |
---|---|---|
引っ張る | 早く | 詰まりを勢いよく 吸い出すため |
押し込む | ゆっくり (または取外して) | 水が逆流して エアコンから漏れる のを防ぐため |
何度かサクションポンプを操作して詰まりが取れると、突然スルッと引っ張るのが楽になり、ドレンホースから汚れや水がドバーッと流れ出して来るようになります。
このような状態になったらドレンホースの詰まりは取り除くことができたということになりますので、一度エアコンを冷房運転で動かしてみて水漏れが直ったかどうか確認してみてください。
エアコン起動から20~30分経過後、ドレンホースから水滴がポタポタ落ち始めることを確認することができれば、ドレンホースの掃除は修理完了です。
修理費用としては、おおよそ7,000~10,000円であることが多く、修理料金の内訳は出張料(3,000~5,000円)+作業料(4,000~5,000円)が相場で、作業時間は30~60分程度となるのが一般的です。
サクションポンプ修理の注意点
ドレンホースが劣化してしまっていて途中で破れてしまっていたりすると、その破れた部分から空気が入ってしまうため、ドレンパン出口部分の詰まりを吸い出すことはできません。
この状態でサクションポンプを引っ張ると全然抵抗がなくてスカスカな感触ですので、すぐに分かると思います。
また、詰まっている汚れが大きくて硬いような場合も、サクションポンプでは吸い出せないこともあります。
この場合は、いくらサクションポンプを押したり引いたりしても、手応えが硬いままとなります。
なお、このサクションポンプでの水漏れ修理は、詰まっている汚れを吸引力でざっくり取り除くだけとなります。
水漏れの根本原因となるエアコン内部で発生した汚れや、ドレンパン上に溜まっているスライム状の汚れなどを取り除いているわけではないため、またしばらく使っているとそういった汚れが流れてきてドレンパン詰まりを再発する可能性があります。
サクションポンプでの水漏れ修理は応急処置的な位置づけですので、今後の水漏れを予防するために別途エアコンクリーニングを依頼して、エアコン内部の汚れやドレンパンやドレンホースに溜まった汚れを取り除いておくと安心です。
【水漏れ修理方法2】針金やピンセットなどによる異物除去
ドレンパンの出口部分が詰まっている場合、針金やピンセットなどを使って、異物(ホコリやカビが固まってできたスライム状の異物、ゴキブリなどの害虫の死骸など)を取り除いていきます。
具体的な修理方法としては、まず、エアコンの電源プラグを抜き、エアコンの本体カバーを外していきます。
このエアコンの場合、ドレンホースはエアコンの左下辺り(赤丸で囲まれているところ)でドレンパンに接続されています。
下の図で矢印のところがドレンパンに溜まった水が流れ出る部分(ドレンホースとの接続部)となるので、下図ドレンパンの赤丸の部分あたりに詰まった異物を取り除いていきます。
詰まっている異物がホコリやカビが固まってできたスライム状の汚れであった場合、針金などを使って詰まっている異物を取り除いていきます。
詰まっている異物が固形物(ゴキブリなど害虫の死骸など)であった場合、ピンセットを使って異物を取り除いていきます。
この場合の修理料金の相場は15,000~25,000円(出張料3,000~5,000円、作業料15,000~25,000円)が相場で、作業時間は1~2時間程度が目安となります。
お掃除機能付きのエアコンなどの場合、一般的なエアコンより構造が複雑で修理に時間がかかってしまうため、修理料金が少し高くなってしまうこともあるでしょう。
針金を使った水漏れ修理の注意点
針金を使ったこの方法はあくまでも応急的な処置となるため、修理業者の人もあまりこの方法を採用することはありません。
というのも、この部分で詰まりが発生したということは、ドレンパン上にかなりの汚れが溜まっている事が多いため、その部分の汚れを除去しておかないとまた水漏れが再発してしまうことになります。
ですので、先ほどお話したサクションホースでの修理が不可能な場合は、次に紹介するドレンパンの分解洗浄を行うのが一般的です。
【水漏れ修理方法3】分解掃除によるつまり除去
サクションポンプや針金でドレンパンのつまりを解消できなかった場合、エアコンを分解してドレンパンに詰まっている汚れを取り除く必要があります。
上記のようにドレンパンをずらした状態で洗浄する場合もありますし、下記のようにドレンパンを完全に取り外して洗浄するケースがあります。
具体的な修理方法としては、まず、エアコンの電源プラグを抜き、エアコンの本体カバーを取外していきます。
次に、周辺のパーツを一つ一つ丁寧に取外していきます。
このような形まで分解することができれば、ドレンパンに接続されているドレンホースなどを取り外してやればドレンパンを取り出すことができます。
ドレンパンを取り外すことができたら、送風ファンやモーターをドレンパンから取り外して、それぞれ丁寧に洗浄していきます。
上記のように完全にドレンパンを外した状態で清掃する場合もありますが、ドレンパンをずらした状態で詰まりを除去できることもあります。
これはケースバイケースで判断していくしかありません。
ドレンパンの具体的な洗浄方法としては、ドレンパンに塩素系の洗剤を吹きかけ、その後、アルカリ系の洗剤で出口部に詰まったドロッとしたスライム状の汚れを溶かしながら取り除いていきます。
ドレンパンを取り外して掃除する場合は、お風呂場などをお借りしてそこでパーツをきれいにしていくことが多いです。
このドレンパン部のスライム汚れは洗浄力の弱いエコ洗剤では全く歯が立たちませんが、塩素系や強アルカリの洗剤つかうことで、ドレンパンにこびりついたカビ汚れまできれいに落とすことができます。
エアコン掃除の洗剤はエコ洗剤と強アルカリ系洗剤を汚れの状況に応じて使い分けていくのがポイントとなります。
サクションポンプや針金などによる簡易的な水漏れ修理ではなく、こうやってドレンパンを取外してしっかりと洗浄しておけば、今後の水漏れ故障を未然に防ぐことができます。
この場合の修理料金の相場は、20,000~40,000円(出張料3,000~5,000、作業料15,000~35,000円)となり、修理にかかる時間は2~4時間程度が目安となります。
ドレンパンの分解洗浄は機種やお掃除機能の有無などによって分解する際の難易度が大きく変わってくるため、ケースバイケースで修理料金や作業時間が大きく変わってきます。
ドレンパン分解掃除による水漏れ修理の注意点
ドレンパンの分解掃除を行う場合、エアコンを本格的に分解していく必要があります。
機種によっては構造上、ドレンパンの取外しが難しかったり、設置から10年以上経過していて部品の劣化が進んでいたりするような場合、ドレンパン分解時に部品が割れてしまったりすることがあります。
このようにドレンパンの分解掃除には部品破損のリスクもあるため、業社によってドレンパンを分解して掃除をするか、ドレンパンは分解せずにサクションポンプや針金などで詰まりを取り、その後に強めの洗剤でエアコンクリーニングを行ってドレンパンの汚れを薬剤で洗い流して落としていくという方法を選んだりする場合もあります。
水漏れトラブルを未然に防ぐ方法
ドレンパンの詰まりの多くは、室内機内部で発生するスライム状の汚れがうまく排出されず、ドレンパン出口部分でつまってしまうことが原因です。
特に、最近ホームセンター等でよく見かけるエアコン洗浄スプレーなどを使って室内機のアルミフィンを掃除したりしてしまうと、落とされた汚れがうまく流れていかず水漏れを引き起こしてしまうというケースが目立っています。
エアコン洗浄スプレーは洗浄力は強いものの、水量が少ないため、落ちた汚れをうまく室外まで排出することができないというデメリットがあります。
アルミフィンについた汚れがひどい場合はこういったものを使って掃除するのではなく、プロに頼んで大量の水で汚れをしっかり洗い流してもらうのが一番です。
既に蓄積してしまっているドレンパン内のスライム状の頑固な汚れについても、プロに事情を説明すれば少し強めのアルカリ系の洗剤を使ったりして溶かして洗い流してもらうこともできます。
今回の水漏れトラブルが解消された後も、定期的なエアコンクリーニング(2~3年に一度のペース)を行うことで安心してエアコンを使っていくことができるようになります。
まとめ
今回は、【ドレンパン掃除】エアコン水漏れを直す3つのテクニックについてお話しました。
近年の猛暑でエアコンの稼働率が上がってエアコン内部の汚れも溜まりやすくなり、それに伴ってエアコン水漏れトラブルの数も徐々に増えてきています。
エアコンの水漏れは放置しておいても良くなることはまずありません。
今はまだ水漏れの量が少ないかもしれませんが、排水経路が完全に詰まってしまうと水を拭き取りながら騙し騙し使うこともできなくなるほど水が漏れてきます。
ドレンパンからのエアコン水漏れは「どの部分で詰まっているのか?」によって短時間で直る場合と本格的にエアコンを分解していかないと直らない場合もあったりしますが、修理の予約さえ取れれば、その日のうちに詰まりを除去し、またエアコンが使えるようになります。
ただ、実際に問合せてみてもらうと分かる通り、夏場はエアコン修理の予約の取り合い状態になっていますので、早くエアコンを直してもらいたい場合は、最低でも2~3社ほどエアコン修理の問い合わせを行い、急な修理キャンセルの空きなどを探す努力が必要です。
水漏れ修理の依頼先としては、メーカーサポートや修理業者以外にも、エアコンクリーニング業者でも対応可能な場合が多いですので、そういった方面にも問い合わせをしていくと良いでしょう。
なお、エアコンを設置してから既に10年近く経過し水漏れ故障を起こしたという場合であれば、修理費用のことなども考慮して、このタイミングで買い替えを検討するというのも一つの手となるでしょう。
いずれにせよ、暑い夏を快適に過ごすためには早め早めの行動が肝心です。
是非参考にしてみてください。