エアコンの室外機は夏場の冷房運転や冬の暖房運転時に水が漏れ出てくることがあります。
- 室外機内の冷えた配管に付いた結露水が垂れてくる(冷房運転時)
- 室外機のアルミフィンに付いた霜を溶かす「除霜運転(自動で行われる)」で溶かされた水が出てくる(暖房運転時)
こういったことが原因で発生する室外機の水漏れは、エアコンが故障していなくても発生するものとなります。
ただ、室外機から出てきた水が地面をベチョベチョにしてしまったり、濡れた部分にカビ汚れ(黒色、緑色、赤色など)を発生させてしまったりすることがあります。
この水漏れをそのままにしておいてしまうと、エアコンを使用するたびにそういったことを気にし続けなければならなくなります。
このような場合、一般的なエアコン工事ではあまり行われることはないのですが、室外機の下に追加のドレンホースを取り付け、室外機で発生する水を別の場所に排水するという解決策があります。
この記事では、エアコンの室外機で水が発生するメカニズムと、室外機に排水用ドレンホースを取り付ける方法についてお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
エアコンの室外機から水が発生するメカニズム
エアコンの室外機は、夏場の冷房(除湿)運転、冬場の暖房運転の際に、故障ではない通常動作でも水を排出することがあります。
ここではまず室外機で水が発生する2つのパターンについてお話していきます。
- 夏場の冷房や除湿(ドライ)運転時
→室外機の内部配管で結露した水が地面に垂れてくるケース - 冬場の暖房運転時
→霜取り運転で室外機のアルミフィンに付着した霜が溶かされて水が出てくるケース
【夏場】室外機の内部配管に結露した水が地面に垂れているケース
エアコンは冷房運転や除湿(ドライ)運転をしている時、室外機の配管が冷たくなるため、その配管表面で結露水が発生することがあります。
これは真夏に氷水を入れたコップ(冷えた配管)に空気中の水分が付着結露するのと同じメカニズムで、正常に運転している場合にも発生してしまうものとなります。
上記は室外機の外部に見えている配管の例ですが、室外機の内部にも冷えて結露してしまう配管があり、その配管に結露した水が室外機の底面に空いている排水用の穴から落ち出てきます。
つまり、夏場の冷房運転や除湿運転を行っている際に室外機から出てくる水は、冷えた配管表面についた結露水が垂れて出て来ているだけであり、エアコン故障が原因ではありません。
【冬場】室外機のアルミフィンに付着した霜が「霜取り運転」で溶かされて出てきている
エアコンの暖房は、室外機で外気の熱を冷媒ガスに取り込み、それを室内機に運んで放出するという仕組みで動いています。
この暖房運転時、室外機のアルミフィン部を氷点下(0℃以下)にまで温度を下げて運転する仕組みになっているため、室外機のアルミフィン部分に大量の霜が付着してしまいます。
どうして室外機のアルミフィンに水分が付着するのかということについては、先程と同様、真夏に氷水を入れたコップに空気中の水分が付着するのと同じと考えればよいでしょう。
ただし、夏場の氷水が入ったコップの場合はコップの表面温度は0℃以上であるため付着した水分は液体のままでした。
ですが、冬場の室外機のアルミフィンの表面温度は氷点下(最大マイナス5℃程度)まで下がることもありますので、付着した結露水分はそこでそのまま冷やされて凍ってしまいます。
上の写真は年に2~3回ほど雪がつもるような比較的温暖な地域で、ちょうど雪が降り積もる中、暖房運転を行っているときに撮影したものですが、赤枠で囲われた部分に氷(水ではなく凍っています)が発生し始めています。
これはまだ着氷の程度が軽い方で、例えば寒冷地などで暖房能力が大きいエアコンをフル稼働させているような場合はアルミフィン部が真っ白になるぐらいの霜が発生することもあります。
このようなメカニズムでアルミフィンが大量の霜でどんどん覆われていってしまうと、室外機がうまく外気の熱を取り込むことができなくなってしまい、その分、暖房効率が落ちていってしまいます。
そのため、エアコンは暖房運転中に室外機についた霜や氷を溶かす霜取り運転を定期的に行うよう設計されています。
この霜取り運転中はアルミフィンについていた氷が一気に溶けだしすため、その溶けだしたた水が室外機の底面からジャバジャバと出てきます。
この冬場の霜取り運転で発生する水の量は夏場よりかなり多いため、エアコンが故障したのではないかと驚いてしまう人もいますが、この霜取り運転で発生する室外機からの水漏れは故障ではありませんので、安心してください。
室外機からの水漏れで困ってしまうこと
室外機からの水漏れで困ってしまうことは、主に2つあります。
- 室外機の周りが水浸しになってしまう
- 水が流れる部分にカビ汚れが発生してしまう
室外機の周りが水浸しになってしまう
1つ目は、地面に室外機を直置きしている場合、室外機の周りが水浸しになってしまうということです。
室外機の周りがコンクリートやアスファルトの場合はまだ良いのですが、土の地面の上に置かれているような場合、地面が濡れてグチョグチョになってしまいます。
室外機の近くを通るたびにそこを踏まないように気をつけないといけないのがとても不便となります。
水に濡れる部分でカビ汚れが発生してしまう
2つ目は、ベランダや壁に室外機を取り付けているような場合、室外機から出てきた水が流れる部分にカビ汚れが発生してしまうということです。
この場合の汚れ方としては、水が流れる部分に黒っぽいカビ汚れがこびりついてしまうケースが多いです。
この他に、壁掛け設置の場合は緑っぽいカビが発生したり、水たまりのように水が溜まる部分では赤っぽいカビが発生することもあります。
カビの発生を長期間放置すると建物を痛めてしまうこともありますので、このような場合は定期的に汚れを清掃する必要が出てくることになります。
室外機からの排水問題は排水ホース設置で解決
こういった室外機からの水漏れの悩みを解決するためには、室外機にも排水用のドレンホースを取り付けるのが効果的です。
エアコンの取付の基本工事には室内機に取り付けるドレンホース(灰色の蛇腹状のホース、1本分)は含まれていますが、室外機へのドレンホース取り付けは有料オプション扱いとなっています。
室外機から出る水が気になる場合は、エアコン取付業者に追加工事を依頼していく必要があります。
室外機への排水ホース設置で使われるエアコン部材
室外機の排水ホースの追加設置で使う一般的なエアコン部材は以下の通りとなります。
ドレンホース
エアコンの室外機に取り付ける排水ホースは「ドレンホース」という名前のものを使います。
エアコン業者は上記のような箱に入った長いドレンホースをカットして使いますが、下記のように2~3mタイプのものもホームセンターなどで売られています。
ドレンホースには耐久性の高いもの(耐候性タイプ、中部が黒色でコーティングされているものが多い)とそうではないもの(若干安い)がありますが、最近では耐候性のドレンホースが主流になってきていますし、値段もそこまで大きくは変わらないので耐候性タイプを選んでおくことをおすすめします。
また、ドレンホースにはφ14mm、φ16mm、φ18mmの3種類があり、次に紹介する室外機の下に取り付けるドレンプラグに合わせて、必要な太さのドレンホースを選んで使っていきます。
ドレンプラグ
ドレンホースを室外機に接続するためには、ドレンプラグというものが必要です。
この部品はエアコンのメーカーや機種ごとに品番が異なるためホームセンターなどでは売られておらず、エアコン部材の問屋さんなどで適合する品番を購入する必要があります。
なお、エアコンの種類によっては、室外機の排水用の穴が1つではなく複数空けられていることもあり、そういった場合はその穴の数の分だけドレンプラグを準備しておく必要があります。
室外機にドレンホースを取り付ける具体的な手順
ここからは室外機に排水ホースを取り付ける具体的な手順についてお話していきます。
まず、ドレンホースにドレンプラグを手でグイッと差し込みます。
この接続部分にはビニールテープも巻いて水が漏れ出さないようにしておきます。
後は、このドレンプラグをエアコンの室外機の下に空いている穴にはめ込んで取り付けます。
あとはドレンホースを適当な長さでカットし、結束バンドやサドルなどで固定していけば完成です。
ドレンホースの代わりに塩ビ配管を使えば耐久性がさらにアップ
ドレンホースは耐久性の高いタイプのものを使っても、室外機の排水など紫外線の当たる場所の場合、3~5年で劣化して水漏れを起こしたりしてきます。
これを防ぐために、ドレンホースではなく耐久性の高い塩ビ管を使って室外機の排水経路を作る方法もあります。
塩ビパイプの耐久性は非常に高く、多少の色落ちといった表面劣化などはあるもの、エアコンの排水利用であれば10年以上でも十分に使っていくことができます。
塩ビパイプの接続には専用の接着剤を使用しますので、接続部からの水漏れの心配はありません。
パイプの固定は、一般的にはサドルとビス止めで行います。
壁への固定の際は、長いビスを使ってしまうと壁内にある防水シートを貫通してしまうこともあるため、短めのビスを利用していきます。
また、ベランダなど床面への固定は表面を覆っている防水シートに穴を開けてしまわないように、あえて固定せずにしておくか、コーキング剤などを使って固定するかケースバイケースで対応していきます。
エアコンの排水経路は塩ビパイプで施工しておけば、次回のエアコン取り換え時もそのまま使っていくことが可能です。
見栄えや今後のメンテナンス性なども考えると施工価値のある方法だと思います。
まとめ
今回は、【室外機の水漏れ対策】排水用ドレンホースの取付け方法についてお話しました。
エアコン室外機からの排水は地面をぐちゃぐちゃにしてしてしまうだけではなく、長期間放置するとコンクリートや壁面などにカビ汚れを誘発したり、壁材を痛めてしまったりしてしまうこともあります。
室外機にドレンホースや塩ビ管を追加設置すれば、そういった排水トラブルをスッキリ解決することができます。
エアコン取付を行っている電気工事業者やエアコン修理業社なら、見た目も綺麗に排水ホースを設置してくれますので、一度問合せてみることをおすすめします。