エアコンは突然壊れてしまうことが多い住宅設備で、その故障原因は多岐にわたります。
壊れたエアコンを修理すべきか、新しいものに取り替えるべきかということについては、その故障原因によって答えが変わってくることがあります。
この記事では、実際に故障したエアコンを分解修理する過程で、修理すべきか買い換えるべきか検討した結果について詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
【実例1】冷媒ガス漏れ(室外機サービスポート部)
このエアコンは真夏の熱帯夜に突然冷たい風が出なくなったものとなります。
エアコンの電源投入後、室内機、室外機共にちゃんと動作するものの、室内機からは全く冷たい風が出ていませんでした。
冷媒ガス漏れは配管の継手(フレア接続部)からのスローリークの場合が多いのですが、このエアコンの場合、ガス圧が全く無く、突然冷えなくなったということから、室外機側の分解調査を行いました。
その結果、室内機内部のサービスポート配管の曲がり部に亀裂があり、そこから冷媒ガスが漏れ出していたということが分かりました。
室外機の内部は油まみれで亀裂部分に雨水がたくさん付着しており、配管内への水分の侵入も考えられるため、修理ではなく取り替えすることになりました。
ちなみに、配管継手(フレア接続)部分からのスローリークで、冷媒ガス圧が残っている場合、冷媒ガスチャージで対応できる場合もありますので、ご参考まで。
>>【エアコンが効かない】冷媒ガス漏れの4つの原因と修理料金相場について
【実例2】圧縮機の動作不良(経年劣化)
このエアコンも夏場の昼間に突然冷えなくなってしまったものとなります。
最初のうちは冷媒ガス漏れを疑っていたのですが、ガス圧は正常であったため室外機の動作をチェックしていくと、コンプレッサーが動き出して数分でキュルキュル・・・・という異音とともに停止することに気が付きました。
その後も数十分ほど動作確認を行っていきましたが、コンプレッサーが起動しては異音とともに停止を繰り返している状態で、最終的にはコンプレッサー不良であるとの結論に至りました。
既にエアコン設置から12年が経過していること、圧縮機交換の修理費用は高額になってしまうこともあるため、修理ではなく新品に取替交換することとなりました。
【実例3】室外機の基盤不良(落雷が原因?)
このエアコンは、夏に冷房をつけようと思ったら全く動かなくなってしまったというものです。
少し前に近所で落雷があったとのことから、最近多くなってきた落雷による基盤故障が疑われました。
実際に室外機の基盤をチェックしてみると、黒く焼け焦げたあとがありました。
室外機の基盤交換で直る可能性が高かったため、部材を発注し交換修理にて対応しました。
落雷の場合は基本的にメーカーや販売店保証ではなく、火災保険で対応することが可能な場合があります。
ただし、火災保険には落雷による家財について保証がないものもありますので注意が必要です。
今回の場合、メーカーや販売店保証がなく、火災保険にも加入していなかったため修理費用はお客様の自己負担となりました。
【実例4】室外機の基盤不良(原因不明)
このエアコンは取付から3~4年が経過したタイミングで、初夏に暑くなってきたのでエアコンをつけてみたらエアコンから生ぬるい風しか出てこないというものでした。
動作確認の段階で室外機(コンプレッサー)が動いていない事がわかり、基盤に取り付けられているLEDランプをチェックや圧縮機の線間抵抗測定などを行ったところ、室外機基盤の異常である可能性が高いということが分かりました。
新品基盤を取り寄せるには1週間程度かかってしまうことを説明したところ、このエアコンは客間に取り付けられていて、お盆などでお客さんが来るときにしか使っておらず、時間的に余裕があるということで、基盤交換修理にて対応しました。
【実例5】エアコンの電源が入らない(リモコン故障)
このエアコンは、夏場に冷房をつけようと思ったのだけれどリモコンを操作してもエアコンが反応しないというものでした。
リモコンの電池を交換してもエアコンの方は反応しなかったため、室内機の応急運転ボタンを押してみたところエアコン本体は正常に作動しました。
この時点でリモコン本体または室内機のリモコン信号の受光部の故障が考えられ、まずリモコンの方の動作を確認したところ、リモコンの先端にある赤外線ランプ(スマホのカメラなどで動作確認可能)が動作していないことが判明しました。
リモコンの修理は難しいことが多いため、リモコンを交換することになったのですが、今回は早くリモコンがほしいということでしたので、純正のリモコンを注文するのではなく、汎用リモコン(様々なメーカーのエアコンに対応できるリモコン、家電量販店やホームセンターで入手可能)を用意して修理完了となりました。
【実例6】室内機の水漏れ(ドレンホース詰まり)
このエアコンは、普段は使ってないのだけれど夏場にお客さんが来たタイミングで冷房を使ったら大量の水が漏れてきたというものです。
水漏れの原因を探るためエアコンを分解してみると、室内機のアルミフィンの下側にあるドレンパン(本来は水が溜まらないところ)が水で一杯になっていて、そこから水が溢れ出でしまっている状態でした。
ドレンパンに水が貯まる原因を調べていったところ、室内機につながっているドレンホースからは一滴も水が出ていない状態で、バキュームポンプで詰まりを取り除こうと思っても全く空気が引けず、完全に詰まっている様子でした。
エアコンの室内機を取外し、ドレンホースの根本のところを確認してみると、少し油っぽい粘土のような土でホース内が塞がっていることが確認できました。
この辺の地域はツチバチなどが多く生息していて、そういった昆虫がここに巣を作ってしまったのだと思われます。
最終的にはこの詰まりを取り除くという方法で水漏れ修理を行い、ドレンホースの先端に虫がホース内に入り込まないようにするパーツを取り付けて今後こういったことが起こらないように対策をしておきました。
【実例7】室内機の水漏れ(害獣被害)
こちらのエアコンは、暑くなったので冷房をつけたタイミングで急に大量の水漏れが発生してきたというケースです。
水漏れの多くはドレンホース内部に汚れが詰まってしまうことが原因になっていることが多いのですが、このエアコンの場合、ドレンホースには詰まりはなく、ドレンパンにも水が溜まっていないという状況でした。
エアコンを分解して水漏れ原因を調査していった結果、室内機からすぐの部分のドレンホースに大きな穴が空いていて、そこから水が漏れている事がわかりました。
取り外したドレンホースがこちらです。
ドレンホースを交換してもまた害獣にかじられる可能性もあったのですが、お客様と相談した結果、次に水漏れが起こったら害獣対策も含めてエアコンごと交換するということでしたので、ドレンホースを新品に交換して今回の水漏れ修理は完了としました。
まとめ
今回は、エアコン修理の実例についてお話しました。
エアコンの不具合は現場ごとにいろいろな要因があって、思ってもいないところに原因があることがよくあります。
故障原因によっては修理すべきか、買い換えるべきか答えが変わってくることもありますので、是非参考にしてみてください。