突然、リモコンを押しても音が鳴らなくなった時、どこをチェックすれば良いか分からないという方は多いのではないでしょうか?
今回は、長年エアコンの修理に携わってきた専門家が、エアコンの音がならない原因と対処法を徹底解説いたします。
リモコンの電池切れや音量設定、ブレーカーの確認といった基本的なことから、制御基板の故障といった専門的な内容まで、幅広く網羅しています。 図解も交えながら分かりやすく説明していきますので、ぜひご自身で解決できるか試してみてください。
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▶ステップ1:状況確認
エアコンのリモコンが反応しない場合、まずは今の状態を確認しましょう。以下の選択肢から、当てはまる症状を選んでください。
この記事の監修者
「taichan(たいちゃん)」
エアコンの故障診断のエキスパート、taichanです。大学院でヒートポンプを研究し、特許も取得。大手電機メーカーで培った知識と15年以上の現場経験を活かしたセカンドオピニオンを無料相談Q&A(空調テック)で提供中。電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など、多数の資格を保有。
リモコンを操作しても音が鳴らない!まずはココをチェック
リモコンを操作しても音が鳴らないという症状は、故障以外にもちょっとしたことが原因であることがよくあります。
音がならずに驚いていることと思いますが、まずは深呼吸してリモコンやコンセント、ブレーカーなどを確認していきましょう。
タップすると詳細を確認することができます。
エアコンが突然使えなくなった時、まず疑うべきはリモコンの電池切れです。
例えば、最近リモコンの液晶画面の表示が薄くなってきた、リモコンをエアコンに近づけないと反応しなくなった、などの症状があれば、電池切れの可能性が高いでしょう。
電池交換の手順
- リモコンの裏蓋を開け、古い電池を2本とも取り外します。
- 新しい電池を2本、正しくセットします。
- リモコンのリセットボタンを、ボールペンや爪楊枝の先などで押します。
- エアコンに向けてリモコンを操作し、動作を確認します。
これでエアコンが動作すれば、原因は電池切れだったということになります。
電池交換で注意すべきこと
電池交換の際に、電池から液漏れが発生し、リモコンの端子部分が腐食している場合があります。 この場合は、小さなマイナスドライバーや金ヤスリ、ティッシュペーパーなどで、腐食部分を丁寧に清掃してから新しい電池をセットしましょう。
受信音量に関する確認
リモコンの音量設定が小さくなっている可能性も考えられます。機種によって音量設定ができるものとできないものがあります。
音量の設定方法の例
- リモコンのフタを開けて[メニュー]ボタンを押す。
- [▲▼]ボタンで「音量」の項目を選び、[決定]ボタンを押す。
- ここで表示されているものが現在の設定音量です。
- 「小」または「切」の場合は、[▲▼]ボタンで「標準」または「大」を選び、[決定]ボタンを押す。
設定方法は機種によって異なります。上記の操作手順は一例ですので、お手元の取扱説明書をご確認ください。
エアコンのコンセントは、室内機側に1つだけあります。
シーズンオフにエアコンのコンセントを抜いている場合は、冷房や暖房を使い始める際に、コンセントを差し忘れていることがあります。
エアコンのコンセントがしっかり差し込まれているか確認しましょう。
エアコンのコンセントが差し込まれているのにエアコンが動かない場合は、ブレーカーが落ちていて、エアコンに電気が供給されていない可能性があります。
ブレーカーには、回路ごとに電流を遮断するアンペアブレーカーと、漏電を検知して電流を遮断する漏電ブレーカーがあります。
エアコン専用のブレーカーがある場合は、分電盤に「エアコン」などの表示があるはずです。
エアコンのコンセントに、他の家電製品のプラグを差し込んで、コンセントに電気が来ているか確認してみましょう。 電気が来ていない場合は、ブレーカーが落ちている可能性があります。
ブレーカーが落ちている場合は、スイッチを上に押し上げて、電気を流しましょう。 ブレーカーのスイッチには、ON/OFFの表示がある場合や、〇や×などのマークで表示されている場合があります。
ブレーカーを操作する際は、感電の危険性がありますので、濡れた手で触らないように注意しましょう。
エアコンのコンセントを差し込んだ時や、エアコンを運転させた時に、家全体の電気が落ちる(停電する)こともあります。 これは、主幹ブレーカーと呼ばれる、家全体の電気を管理しているブレーカーが落ちたためです。
電気の使用量が多いわけではないのに、エアコンを使うとブレーカーが落ちて停電してしまう場合は、エアコンの漏電が考えられます。 漏電は、感電や火災の原因となる可能性があります。
また、エアコン以外の家電製品が原因で漏電ブレーカーが作動している可能性もあります。 他の家電製品のコンセントを抜いて、ブレーカーが落ちるかどうか試してみましょう。
エアコンのコンセントを差し込んだ時や電源を入れようとした時に、ブレーカーが落ちて停電する場合は、エアコンの漏電が疑われます。 この場合は、危険ですので、自分で修理しようとせず、すぐに業者に点検を依頼しましょう。
漏電ブレーカーが作動した場合は、エアコンのメーカーサポートまたは電気工事店に連絡してください。
自主点検後のエアコン動作のチェック手順
エアコンの点検お疲れ様でした。
ここで一度エアコンを再起動して、エアコンが直ったかどうか確認してみてください。
ここまでの手順でエアコンが直った場合、冷たい/暖かい風が手を押し返すぐらいの勢いで吹き出してきているはずです。
この時点でまだエアコンがちゃんと動かない場合、もう少し本格的な点検(場合によっては修理)が必要となってきますので、記事の後半でお話していきます。
エアコンのリセット方法
エアコンは強いノイズを受けたりするだけで誤作動を起こして動かなくなってしまうことがあります。
上記の内容を確認してもエアコンがつかない場合、一度下記の手順でコンセントプラグを抜き差ししてエアコン本体をリセットしてみて下さい。
エアコンのリセットは、リモコンのボタンではなく、電源プラグを抜いて行います。リモコンのリセットボタンは、リモコンの電池交換後などに使用します。
1. エアコンをOFFにする
エアコンが動いている場合はリモコンでエアコンの電源をOFFします。
運転ランプやタイマーランプが点滅して既にエアコンの動作が停止してしまっているような場合は、そのまま次のステップに進んでください。
2. 室内機の電源コードを抜く
次に、エアコンの電源コードを抜きます。
電源プラグが高いところで抜き差ししにくい場合などは、分電盤の中にあるエアコン回路のブレーカーを落としてもOKです。
ルームエアコンの場合、電源は室内機側のコンセントのみとなっていますので、ここまで作業ができたらエアコンに流れる電気は遮断できたことになります。
ブレーカーのマークの意味は「ー」で通電、「◯」で開放(電気を遮断)となっています。
3. 5分後に電源を入れ直す
エアコンの電源を落としてから5分後にコンセント(ブレーカー)を差し込んでください。 5分待つことで、エアコン内部の電子部品が完全に放電され、リセットが確実に行われます。
ルームエアコンの場合、電源コンセントは室内機のところに一箇所しかないため、この操作を行うことで、室内機だけではなく室外機の方も同時にリセットすることができます。
応急運転ボタンによる動作確認方法
エアコン本体に問題がないかを確認するために、「応急運転ボタン」を押してみましょう。
応急運転ボタンは、エアコン本体にある、通常は小さくて目立たないボタンで、リモコンを使わずにエアコンを起動できる機能です。
応急運転スイッチの使い方
ルームエアコンには「応急運転スイッチ」というものが室内機本体の下側や前面パネルを開いたところについていて、この応急運転スイッチを使えば、リモコンを使わずにエアコンを起動する事ができます。
- 取扱説明書をよく読み、応急運転ボタンの位置を確認します。
- ボタンが小さい穴に隠れている場合は、細い棒などを使って押します。
- 応急運転ボタンを押すと、エアコンが起動します。起動する運転モードや設定温度は、メーカーや機種によって異なります。
応急運転後の確認
エアコンの応急運転を行った後、以下の点を確認してください。
- エアコンの電源ランプがついたか
- エアコンの音が鳴ったか
- 室外機が動き出したか
- 冷たい/暖かい風が出ているか
応急運転スイッチを押してもエアコンが起動しない、またはエアコンのランプが点滅してちゃんと動かない場合、エアコンにエラーが発生してる可能性が高いでしょう。
スマート診断ナビ(使用年数や設置状況などを入力するだけで、簡単に診断できます)で、エアコンが修理できるかチェックしてみよう!
エアコンの音がならず、電源が入らない時の故障原因と修理費用
ここまでいろいろな対処法を試してみたにもかかわらず、エアコンが動かないような場合は、本格的にエアコンが故障してしまっている可能性が高いといえます。
このような場合の主な故障原因と対処法は以下の通りとなります。
リモコン受光部の故障
リモコン受光部は、エアコンがリモコンからの信号を受信する部分です。ここが故障すると、リモコンで電源のオン/オフや温度設定など、一切の操作ができなくなります。
具体的には、以下のような症状が現れます。
- リモコンのボタンを押しても、エアコンが全く反応しない。
- リモコンの電池を交換しても、症状が改善されない。
リモコンの信号が届いているかどうかを確認するには、リモコンの先端をスマートフォンなどのカメラに向けてボタンを押してみましょう。カメラにリモコンの信号が写れば、リモコンは正常に動作しています。
応急運転ボタンではエアコンが起動するが、リモコンが効かなくなってしまった場合、本体のリモコン受光部が故障している可能性があります。
故障の原因としては、長年の使用による経年劣化や、エアコン掃除の際に水がかかってしまうなどが考えられます。
もし、エアコンが応急運転ボタンでしか操作できない場合は、リモコン受光部の故障を疑ってみましょう。
修理費用は、一般的に10,000円~20,000円程度です。エアコンを買い替えるよりも安く済むことが多いので、修理を検討することをおすすめします。
制御基板や配線の故障
エアコンには、制御基板(エアコンの頭脳)と呼ばれるコンピューターのような部品が、室内機と室外機のそれぞれに搭載されています。
この制御基板は、ファンモーター(風を送るためのモーター)、圧縮機(冷媒ガスを圧縮して循環させるポンプのようなもの)など、エアコンの様々な部品に指示を出して、全体をコントロールしています。
この制御基板や、基板とパーツをつなぐ配線などが壊れると、エアコンの電源が入らなかったり、室外機が動かなくなったりします。
制御基板の故障は、長年の使用による基板の割れや、繰り返し熱が加えられることによる半田の剥がれ、基板上にあるパーツの寿命などが原因となります。
制御基板の故障を防ぐためには
- 適切な使用:
エアコンを適切な設定温度で運転し、過度な負荷をかけないようにしましょう。 - 設置場所:
直射日光や高温多湿の場所を避け、風通しの良い場所に設置しましょう。
制御基板の修理費用
制御基板が故障した場合、修理費用の相場は、おおよそ以下の通りです。
- 室内機側の制御基板の場合:10,000~35,000円
- 室外機側の制御基板の場合:10,000~35,000円
この他に、室外機内にある基板の故障の場合についても、おおよそ上記の見積相場となります。
制御基板の修理手順
- エアコン動作の症状やエラーコードなどから制御基板の故障が原因であることを確定します。
- 部品をメーカーなどに発注します。
- 部品到着後に基盤を交換します。
パーツの在庫がある場合は数日中に修理が完了することになりますが、メーカーから部品を取り寄せる場合は、部品が到着するまで1~2週間かかることもあります。
屋内配線の不具合
エアコンの電源が入らない原因は様々ですが、屋内配線の不具合もその一つとして考えられます。
屋内配線とは、壁の中や天井裏などに隠れている配線のことです。これらの配線は、経年劣化やねずみなどの小動物による損傷、接続不良などが原因で、エアコンに電気が正しく供給されなくなることがあります。
ご自身で確認できる範囲としては、以下の点に注意してみましょう。
- コンセントにぐらつきや、焦げ付きがないか
- アース線が正しく接続されているか
- 他の家電製品は正常に動作するか
もし、これらの点に異常が見られる場合は、屋内配線の不具合が疑われます。
屋内配線の状態を詳しく確認するには、専門的な知識や技術が必要です。そのため、ご自身で修理しようとせず、電気工事士などの専門業者に点検を依頼することをおすすめします。専門業者に依頼することで、安全に問題を解決し、安心してエアコンを使用できるようになります。
プロが教える!エアコンの音が鳴らず、電源が入らないに関するQ&A
エアコンの音がならず、電源が入らないという不具合症状に対してよくある質問への回答を紹介します。
- Qエアコンの故障を未然に防ぐ方法はありますか?
- A
エアコンを長く快適に使うためには、日頃からのメンテナンスと、トラブルを未然に防ぐための環境づくりが大切です。具体的な方法を見ていきましょう。
1. 定期的な清掃
- フィルター清掃: フィルターが目詰まりすると、エアコンの効率が低下し、電気代が増加するだけでなく、故障の原因にもなります。具体的には、圧縮機に負担がかかり、摩耗が早まることで効率が低下します。少なくとも月に1回はフィルターを取り外して掃除機で埃を吸い取り、汚れがひどい場合は水洗いしてください。
- 室外機の清掃: 室外機は、周囲にゴミや落ち葉などが溜まっていると、空気の循環が悪くなり、故障の原因になります。定期的に周囲を掃除し、風通しを良くしましょう。
2. 適切な使用
- 長時間の高負荷運転の抑制: 長時間の高負荷運転は、エアコンの寿命を縮める原因(圧縮機の摩耗)になります。設定温度を極端に低く(高く)するような使い方は避けるようにしましょう。
taichan最近のエアコンは圧縮機のインバータによる可変速駆動と低速運転における効率改善により、低負荷でも高効率な運転ができるようになってきています。エアコンを交換するタイミングで、部屋に対して少し能力の大きなエアコンを取り付け、エアコンの稼働率を下げることで、寿命を伸ばすことができます。
3. 定期的な点検
- 試運転: シーズン前に試運転を行い、異音や異常がないか確認しましょう。
taichan真夏にエアコンが壊れてしまうと、修理が混み合っているため、直るまでに時間がかかってしまいます。エアコンの故障はシーズン前の試運転で早期発見し、早めに対処しておくのがポイントです。
4. その他
- 設置場所: 直射日光が当たる場所や、雑草が生い茂るような害虫や小動物が多い場所にエアコンを設置するのは避けましょう。また、海に近い場合は塩害仕様、雪が積もる場合は寒冷地仕様のエアコンを選びましょう。
- 電源: 落雷の多い地域の場合、雷によってエアコンが故障することがあります。雷が多い地域の場合、家の分電盤に避雷器(雷によるコンセントへの影響を軽減する機器)を取り付けておくと安心です。なお、避雷器の取り付け作業には電気工事士の資格が必要となりますので、お近くの電気屋さんに問い合わせてみましょう。
taichan分電盤に避雷器を取り付けておけば、落雷による家電製品の故障を未然に防ぐことができます。
まとめ
エアコンのリモコンを操作しても音がならない問題は、多くの場合、簡単な確認や操作で解決できます。リモコンの電池交換、音量設定、コンセントの確認、ブレーカーの確認など、この記事で紹介した対処法を参考に、まずは落ち着いて確認していきましょう。
エアコン本体のリセットや応急運転ボタンによる強制始動をしても動き出さない場合は故障が疑われます。コンセントに電気が来ていない場合は屋内配線に異常がある可能性があります。
自分で対処できない場合は、プロに点検してもらい、音がならない原因の特定し、復旧に必要な費用の見積もりを取ることをおすすめします。
【メーカーサポートの連絡先一覧】
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エアコンのトラブル、もう悩まない!解決への3ステップ
エアコンの調子が悪いと感じたら、まずは落ち着いて状況を把握しましょう。
電源が入らない、ランプが点滅する、異音がする、冷風が出ない、水が漏れる…など、具体的な症状は何でしょうか?
慌てずに、これからご説明する3つのステップに従って、ひとつずつ問題を解決していきましょう。
ステップ1:状況確認と原因特定
不具合の具体的な症状(例:冷えない、異音がする、水漏れするなど)を把握しましょう。そして、エアコンの不調の原因を探ります。取扱説明書を確認したり、簡単なセルフチェックを試してみることで、自分で解決できることもあります。
エアコンの調子が悪いときは、まずこちらで不具合内容をチェック!
>> エアコンの不具合診断(スマート診断ナビ)はこちら
ステップ2:修理の可否
エアコンの使用年数から、エアコンの修理が可能かどうかを判断します。保証や修理費用確認費用などを調べましょう。
修理を依頼する前に、まずは修理が可能かどうかを確認することができます。
>>修理はできる?診断したい方はこちら
ステップ3:業者選び
修理または買い替えを依頼する業者を選びます。 メーカーのサービスセンター、家電量販店、街の電気屋さんなど、様々な選択肢があります。 費用やサービス内容を比較検討し、信頼できる業者を選びましょう。
信頼できる業者を見つけるためのヒントはこちら
>>業者の違いが知りたい方はこちら
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大学院でヒートポンプを研究し、特許も取得。大手電機メーカーで培った知識と15年以上の現場経験を持つtaichanが、あなたの疑問やお悩みに丁寧にお答えします。
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