【STEP3】ポンプダウン(冷媒回収)を行う
ここからは、エアコンシステム内に充填されている冷媒を室外機の中に集める(回収する)ポンプダウンという作業を行います。
この作業を行わないと、配管を取り外す際に大量の冷媒とコンプレッサー油が一緒に吹き出してしまい、怪我の危険や環境汚染にもつながりますので、必ずこれから説明するポンプダウンという作業を実施しておきましょう。
なお、当記事では一般的なポンプダウン方法を記載しておきますので、ほとんどの場合この方法でポンプダウンできると思いますが、詳しくはエアコンに付属している工事説明書や据付説明書(取扱説明書ではない)に記載の方法を参照ください。
工事説明書または据付説明書がない場合は、以下のサイトからダウンロード可能です。
工事説明書(据付説明書)のダウンロードサイト
- D-search|DAIKIN
- 取扱説明書/仕様表・寸法図/工事説明書|SHARP
- ルームエアコン(霧ヶ峰) の製品情報一覧|三菱電機
- 取扱説明書/据付説明書/仕様書検索|FUJITSU GENERAL
- 図面・説明書|Panasonic
- 製品情報検索|東芝キャリア株式会社
- 住宅設備用エアコン:エアコン取扱説明書検索|日立アプライアンス株式会社
【ポンプダウン作業その1】エアコンを冷房で強制運転する
まずはじめに、エアコンの前面やパネル裏などにある応急運転ボタンを押し、強制冷房運転を10分ほど行います。
ポンプダウンは強制冷房運転でなくても、夏場の場合であれば冷房(設定温度を最低)でもOKです。
ただし、冬場の場合、室温が低すぎるために強制冷房運転を行わないと室外機が止まってしまって、ポンプダウンできなくなる場合がありますので、応急運転スイッチで強制冷房運転させておいたほうが無難です。
なお、メーカーによって強制冷房運転の操作方法が異なる場合がありますので、下記のサイトで事前に確認しておくと安心です。
強制冷房運転の操作方法
ポンプダウンで10分ほど冷房運転させておく理由は、配管内にたまったコンプレッサーオイルを回収するという目的以外にも、ポンプダウン前に暖房運転を行っていた場合、冷房と暖房の冷媒の流れを切り替える四方弁が切り替わるまでに3~5分ほどかかることがあるためです。
応急スイッチを押してから10分も待つのはちょっと面倒ですけど、ちょっと我慢して10分ぐらいは冷房運転させてあげてください。
【ポンプダウン作業その2】室外機の送り側バルブ(細い方)を閉じる
強制冷房運転を行いだしてから10分ほど経過したら、エアコンはONのまま室外機の送り側バルブ(細い方)に六角レンチを差し込み、右回しでしっかりと締め閉じていきます。
ここで理解しておきたいことは、送り側のパイプ(細い方)とは室外機から室内機に冷媒を送るためのパイプのことで、この送り側のバルブを六角レンチで締めてやれば、閉めた送り側のバルブ部で冷媒の流れがストップするため、これ以上冷媒は室外機から室内機に送られなくなります。
このように送り側のバルブを閉じた状態で、下側に写っている戻り側のバルブ(太い方、室内機から室外機に冷媒が戻ってくる方)は開いたまま(そのまま)にしておけば、室外機の送り側の配管から室内機、そして室内機から室外機の戻り配管までの冷媒が室外機の中に吸い込まれ続け、最終的には全ての冷媒が室外機の中に集まっていきます。
このような仕組みで冷媒を集める工程をポンプダウンと言います。
冷媒を室外機内部に集め終わるまで約2~3分ほどかかりますので、キッチンタイマーなどを使ってカウントダウンしておくと良いでしょう。
【ポンプダウン作業その3】室外機の戻り側バルブ(太い方)を閉じる
送り側のバルブ(細い方)を閉じてから2~3分が経過したら、戻り側のバルブ(太い方)も締め閉じていきます。
こうやって戻り側のバルブ(太い方)も閉じてしまえば、エアコン内部にあった冷媒は全て室外機の中に集まった事になり、この後は配管を取り外しても冷媒が外に大量に漏れしまうということはなくなります。
なお、戻り側のバルブを閉め終えたら、エアコンの運転を停止させてください。
これでエアコン内の冷媒を室外機に集めるポンプダウン作業は完了です。
ポンプダウンを失敗してしまうケースとしては、冬場などに普通に冷房運転でポンプダウンしていると、途中で設定温度に達してしまって室外機が停止してしまい、冷媒回収の途中でポンプダウンが終わってしまう場合があります。
そのような場合は、エアコンを停止させた後、もう一度送り側と戻り側のバルブを開いて、ポンプダウンをやり直してくださいね。
次のページでは、エアコンの室外機を取り外す工程についてお話していきます。