エアコンのガスが漏れる原因について
ここからは家庭用のエアコンの冷媒ガスが漏れてしまう主な4つの原因についてお話していきます。
【ガス漏れ原因1】配管の接続不良
家庭用のエアコンは、フレア加工を施した銅管をフレアナットで締め付けながら圧着接続する方式を採用しています。
この接続方法は、フレア加工した銅管をフレアナットで締め付けて圧着させるため、基本的には冷媒漏れが全く発生しないことになります。
家庭用エアコンの冷媒漏れの多くはこの接続部(室内機側、室外機側の2箇所)の不良で、エアコン購入後の取付工事や引っ越しなどによる移設、エアコンの分解洗浄(解体クリーニング)などを行った際に、接続不良を起こして冷媒が漏れてしまうことがあります。
室内機側の配管接続部
室外機側の配管接続部
老舗のエアコン業者の場合、この接続部からの冷媒漏れが後々のクレームに繋がることは充分に承知しているため、この点においては最適な取り付け手順、締付けトルク管理など慎重に慎重を重ねる作業がなされます。
ただ、経験の浅い業者の方が作業されたり、またはDIYでエアコン移設や解体クリーニングを行ったりした場合、適切なトルク管理やフレア面の管理がされず、この部分からの冷媒漏れが発生してしまうことがあります。
少し難しい話になってしまいましたが、家庭用のエアコンの冷媒漏れのほとんどはこのようなフレア接続部からの冷媒漏れですので、この場合、単に冷媒を充填しただけですと、すぐにまた冷媒が漏れ出してしまってエアコンが冷えなくなってします。
ですので、このケースの場合の修理方法は、①冷媒が漏れ出している箇所を修理して、②冷媒を再充填するというのが正しい修理手順となります。
先ほど紹介したエアコンガス充填の料金(7,000~20,000円)は単に冷媒を補充する、または一旦冷媒を完全に抜き取り再補充する場合の料金となりますが、冷媒漏れの特定と修理まで行う場合、上記料金+1~2万円ほどを想定しておく必要があります。
【ガス漏れ原因2】配管腐食による冷媒漏れ
もう一つ、家庭用エアコンの場合、配管が腐食することによって配管に穴が空き、そこから冷媒が漏れ出すことがあります。
特に、海岸地域や温泉地などは、エアコンの配管の腐食が進行するスピードが早くなってしまいます。
・海浜地区など塩分が多い所(腐食による冷媒漏れの原因になります。)
・温泉地など硫化ガスが発生する所(腐食による冷媒漏れの原因になります。)
この他に、ドレンホースを直接汚水配管に接続をしている場合、下水道で発生したアンモニアなどの腐食を起こしやすいガスが室内機の熱交換器などに穴を開けてしまうこともあります。
このような場合は、冷媒が漏れ出した箇所をロウ付けして修理する必要があり、ガス漏れ箇所や程度にもよりますがおおよそ3~10万円程度かかってしまうのが一般的です。
室外機の腐食劣化状態が激しい場合、室外機を丸ごと新しいものに交換することも検討していかなければなりません。
ただ、ルームエアコンの場合は室外機単体を取り寄せる金額と、エアコン一式を購入する金額が殆ど変わらないということも多いですので、買い替えの検討も必要となってきます。
海岸地域などにお住まいの場合は、オプションの耐塩害仕様品などを購入するなどで配管腐食の進行スピードを抑えることが出来ますので、ご参考まで。
海沿いの場所では潮風の影響により室外ユニットがサビや腐食が発生しやすくなります。そのため、耐塩害仕様室外機は外装部品や内装部品など潮風によるサビ・腐食に強い素材を採用し長期間持続させることができます。
【ガス漏れ原因3】配管折れやピンホールからの冷媒漏れ
エアコンガス漏れで稀に見かけるのが、冷媒ガスが封入されている配管が折れたり、熱交換器などの配管に小さな穴が空いたりしてそこから冷媒ガスが漏れてしまうことがあります。
配管が折れてしまうというケースは、室外機の内部配管が運転振動によって折れてしまうということが多く、配管部品を交換修理したり、場合によっては室外機ユニットを丸ごと交換となることもあります。
熱交換器ピンホールからのガス漏れは、製品の初期不良であることもありますが、最近多くなってきているのがエアコンを一日中つけっぱなしにして使っている場合によく発生しているような印象です。
この場合も、熱交換器または室内機や室外機ユニットを交換修理することが多く、修理費用は5~15万円程度必要になってきます。
配管折れやピンホールからの冷媒ガス漏れの場合、メーカー保証(冷媒回路5年間)で対応してもらえることもありますので、一度保証症などを確認してみましょう。
【ガス漏れ原因4】圧縮機内での冷媒漏れ
家庭用エアコンなどの小型エアコンではあまり見られないのですが、稀にエアコン配管の外(大気中)に冷媒が漏れ出すのではなく、圧縮機と呼ばれる冷媒を加圧する部品の内部で冷媒が漏れ出す(圧縮ロスが増える)ことがあります。
家庭用のエアコンの場合、室外機にスクロール式というタイプの圧縮機が搭載されていますが、経年劣化により接触している金属面がすり減り、新品のときよりも圧縮効率が落ちる(冷媒が低圧から高圧側にうまく圧縮されない、高圧側から低圧側に冷媒が漏れ出す、年3~5%程度効率が悪化)という症状が出てきてしまいます。
このようなケースだと、室内機の冷却フィンの温度が設計値よりも高くなり、吸い込んだ空気をうまく冷却できなくなってしまいます。
こうなってしまうと、冷房が効かず部屋が涼しくならないのに電気代は年々高くなってしまうということになります。
注意しなければならないことは、このケースの場合、冷媒が大気中に漏れ出しているのではなく、圧縮機内部で高圧側から低圧側に移動している(圧縮機内部で漏れている、大気中に漏れ出しているわけではない)だけなので、エアコン内部に充填されている冷媒量には変化がありません。
ですので、このケースの場合は冷媒を補充してもエアコンが復活することはありません。
圧縮機を新しいものに部品交換するためにはロウ付け作業が必要となるため、修理費用は5~10万円程度になることが多いでしょう。
家庭用のエアコンでこのような症状が出る場合、既にエアコンを設置してから10年以上経過しているケースがほとんどですので、エアコンの耐用年数の目安となる10年を超えている場合は修理を考えるより買い替えを検討していく時期となります。
まとめ
今回は、【エアコンが効かない】冷媒ガス漏れの4つの原因と修理料金相場についてお話しました。
冷媒ガスが抜けてしまうとエアコンの効きが極端に悪くなります。
ガス漏れの原因は配管接続部の場合が多く、この場合はガス漏れ修理とガスチャージでエアコンが復旧します。
ただし、熱交換器の穴あき腐食によるガス漏れや圧縮機内のガス漏れの場合は熱交換器や圧縮機の部品交換(ロウ付け作業が必要)となり、修理費用が高額になるため、修理ではなく買い替えも検討していったほうがいいでしょう。
夏場はエアコン修理や取付が混み合いますので、調子が悪くなった場合は早め早めに対処していくことをおすすめします。