真夏の暑い日にエアコンをつけたら、室外機から水が出ていない…これって故障?そんな不安を感じたことはありませんか? 実は、エアコンが正常に動いていても、水が出ないケースは意外と多いんです。
この記事では、その原因と、自分でできる簡単な対処法まで詳しく解説します。
この記事では次のことが学べます!
- ドレンホースからの排水は「冷房」や「除湿」運転のみ生じる。
- クーラーの使用状況によって、排水開始まで10~30分時間がかかる場合も。
- 比較的涼しい時期(春や秋)はドレン排水量はかなり少なくなる。
- 故障の場合の主な原因は、冷媒ガス漏れや電源不良、排水経路の詰まりなど
エアコンの専門知識がなくても大丈夫!安心して読み進めてください。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
室外機のところにあるドレンホースの役割とは?
エアコンは水道がつながっているわけでもないのにどうして室外機のところにあるドレンホースから水が出てくるのでしょうか?
エアコンのドレンホースから水が出てくるのは、冷房や除湿運転時のみです。これは、エアコン内部で発生した結露水を排出するためです。
部屋の空気中の水分が冷やされて水滴となり、それがドレンホースを通って室外に排出されるのです。
ドレンホースの役割は、室内機で発生した結露水を室外に排出するためのものと言うことになります。
ドレンホースから水が出てこない5つの原因と対処法
エアコンのドレンホースから水が出てこなくなる原因は、大きく分けると5つのパターンが考えられます。
【原因①】運転開始直後のケース
ドレンホースからの排水はエアコンをONしてから20~30分後になることが多いです。エアコン動作直後はドレンホースからの排水がなくても故障ではありませんので、安心してください。
自分でできる対処法
- エアコンをオンにしてから20~30分程度様子を見みてみましょう。
- その後も水が出ない場合は、他の原因を疑いましょう。
ドレンホースが長い(室内機から室外機までの距離が長い)ような場合、はエアコンを作動させてからしばらく待たないとドレンホースから水が出てきませんので、しばらく待ってみてください。
【原因②】室温が設定温度付近になっているケース
室温が設定温度付近になっている場合、エアコンは室外機に「もう部屋を冷やさくなくていいよ」という司令を送り、運転を停止させます。
圧縮機が停止すると室内機内部にあるアルミフィンも冷えなくなりますので、それに伴ってアルミフィンで発生する結露の量も少なくなります。
このように室温が設定温度付近まで下がってきた場合は室内機で発生する結露の量が少なくなるため、ドレンホースから排出される水の量も少なくなります。
また、それ以外にも、使用状況や温度、湿度、部屋の気密性などによっても、結露する水の量は変化します。そのため、エアコンが動いていても、ドレンホースから水が出ない場合があるのです。
自分でできる対処法
- エアコンの設定温度を下げて、20~30分後にドレンホースからの排水量が増えるか確認しましょう。
- 排水量が増えない場合は、エアコンの故障が考えられるため、専門業者に点検を依頼しましょう。
エアコンの設定温度を低めに設定したにも関わらず室外機が動かないような場合、エアコンの故障が考えられますので、下記の記事を参考にしてみてください。
【原因③】冷媒ガス漏れてしまっているケース
ルームエアコンの配管内にはおおよそ1kg前後の冷媒ガスが封入されています。
何らかの理由でこの冷媒ガスが漏れて少なくなってしまった場合、室内機内部にあるアルミ熱交換器が異常に冷却されてしまい、結露水が熱交換器のところで凍ってしまうことがあります。
その結果、冷房運転をしているにも関わらず、ドレンホースから水が出て来ないという症状が発生します。
自分でできる対処法
- 冷媒ガスが漏れていると、エアコンが冷えにくくなるだけでなく、冷房運転中に室外機の配管が異常に冷え、霜が付着することがあります。配管を確認し、霜がついていないか確認してみましょう。
- 運転中に冷媒ガス漏れによってアルミフィンに付着した霜が運転停止後に溶け出すことがあるため、エアコン停止後にドレンホースから水が出てこないか確認してみましょう。
冷媒ガス漏れは専門的な知識と技術が必要なため、自分で修理しようとせず、エアコンのメーカーや販売店、または専門業者に修理を依頼しましょう。
冷媒ガス漏れの原因や具体的な対処方法については、こちらの記事が参考になります。
【原因④】エアコンが動いていないケース
エアコンはリモコンは動作していても本体が故障して電源が入らないということがよくあります。
この他に、エアコンの電源はついていて室内機の吹出口から風が出ているにも関わらず、室外機の方が故障して動かなくなってしまっていることもあります。
自分でできる対処法
- まず、リモコンの電池を確認し、正常に動作するか確認する。
- 室内機の電源ランプが点灯するか確認する。点灯しない場合は、電源プラグがコンセントに正しく差し込まれているか、ブレーカーが落ちていないかを確認する。
- 室外機のファンとコンプレッサーが回っているか確認する。
エアコンの電源が入らない、室外機が動かないという場合は、エアコンの故障が考えられるため、専門業者に点検を依頼しましょう。
>>【故障か!?】エアコンの電源がつかない原因と対処法まとめ
>>エアコンの室外機が動かない(回らない)原因と対処法まとめ
【原因⑤】排水経路が詰まってしまっているケース
排水経路が詰まっている場合はもちろん、ドレンホースの先端にゴミが詰まったり、ホースがたるんでいたりしても、水が出なくなることがあります。もし水が出ない場合は、まずドレンホースの状態を確認してみましょう。詰まりやたるみを放置すると、室内機から水漏れを起こす原因になることもあるので注意が必要です。
本格的にドレンホースが詰まってしまった場合、行き場を失った水がエアコン室内機の方から水が漏れてくる可能性があります。
ドレンホースが詰まってしまった場合、エアコンの吹出口や本体底面などからエアコン動作中は連続的にポタポタと水が漏れてくるのが特徴です。
水漏れ量としては完全にドレンホースが詰まってしまっているような場合だと、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。
ドレンホースから水が出なくなり、その後室内機から水が漏れてきたという場合は、ドレンホースなどの排水経路のつまりを疑っていきましょう。
自分でできる対処法
- 冷房運転を1時間以上運転し、室内機側から水が漏れて来ないか確認しましょう。この状態で水が漏れなければドレンホースのつまりはないと考えられます。
- 水漏れが発生した場合は以下の対処法を試してください。
自分で対処できない場合は、専門業者に清掃を依頼しましょう。
エアコンの故障を自分でチェック!温度差で簡易診断
エアコンが故障したかも?と思ったら、専門業者に依頼する前に、自分で簡単にチェックできる方法があります。それは、エアコンの吸込口と吹出口の温度差を測ることです。
温度差でわかること
エアコンは、室内の空気を吸い込み、冷やして吹き出すことで、部屋の温度を調節しています。
正常に動作している場合、室内機の吸込口と吹出口の温度には一定の差があります。
しかし、ガス漏れや室外機の故障があると、この室内機の吸込口と吹出口の温度差が小さくなってしまいます。
温度測定の手順
- エアコンの設定:
運転モードは冷房とし、最低温度・最大風量に設定します。 - 温度測定:
吸込口(通常、エアコン上部)と吹出口の温度を測定します。温度計は、ホームセンターなどで2,000円程度で購入できるものがおすすめです。
- 温度差の確認:
測定した温度の差を確認します。
正常な温度差の目安
- 冷房: 8~13℃
- 暖房: 16~23℃
温度差が小さい場合
もし、測定した温度差が上記の目安よりも極端に小さい場合は、ガス漏れなどの故障が疑われます。この場合は、エアコンのメーカーや販売店、または専門業者に点検・修理を依頼しましょう。
注意点
- 温度測定は、エアコンが安定して運転している状態で行いましょう。運転開始直後や停止直後は、正確な温度差が測れない場合があります。
- 温度計の種類や測定環境によって、多少の誤差が生じる場合があります。あくまで目安として考え、心配な場合は専門業者に相談しましょう。
自分でできることはここまでです。温度差によるチェックはあくまで簡易的なものとなりますので、正確な故障診断は専門業者に依頼しましょう。
プロが教える!エアコンの室外機に関するQ&A
- Qエアコンから冷たい風が出ず、ドレンホースからも水が出ていないのですが、故障でしょうか?
- A
お部屋が冷えていれば、故障ではありません。ドレンホースから出る水は、室内の空気中の水分が冷やされてできた結露水です。部屋の温度や湿度によって、結露水の量は変化するため、エアコンが動いていても水が出ない場合があります。
設定温度を低くしてもドレンホースから水が出てこない場合は、故障の可能性があります。エアコンのメーカーや販売店、または専門業者に相談することをおすすめします。
- Qどうしてエアコンのドレンホースから水が出てくるのですか?
- A
エアコンは冷房や除湿運転を行う際、室内機の内部にあるアルミフィン熱交換器は冷媒ガスによってキンキンに冷やされます。
エアコンの室内機は部屋の熱い空気を吸い込んで、その冷えたアルミフィンの隙間を通過させることにより空気を冷やしています。
部屋の空気はアルミフィンを通過する際、その冷えたえたアルミフィンに触れることで空気中の水分がアルミフィンに結露して付着します。
これはちょうど夏場に氷を入れたガラスのコップの表面に水滴がつくのと同じ原理となっています。
アルミフィンに付着した水分はフィンをつたって下に流れていき、アルミフィンの下にあるドレンパン(露受皿)に落ち、最終的にはドレンホースを通って室外に排出されます。
真夏日に冷房運転を行った場合、一日あたり数リットルから十数リットルもの結露水が発生しています。
- Q春や秋など、涼しい時期にエアコンを使っても、室外機から水が出ないのですが、なぜでしょうか?
- A
涼しい時期は、室温が設定温度に達しやすく、エアコンの運転が停止する時間が長くなります。そのため、結露水の発生量が少なくなり、ドレンホースから水が出ないことがあります。
エアコンは、室温が設定温度に達すると、自動的に運転を停止します。そのため、涼しい時期は、エアコンが頻繁に停止し、結露水の発生量が少なくなるため、水が出ないことがあります。
- Q冷媒ガスが漏れていると、どんな症状が現れますか?
- A
冷媒ガスが漏れていると、エアコンの効きが悪くなる、冷房運転中に室外機の配管が異常に冷え、霜が付着する、エアコン停止後にドレンホースから水が出るといった症状が現れることがあります。
冷媒ガス漏れは、エアコンの性能を低下させるだけでなく、環境にも悪影響を及ぼします。疑われる場合は、速やかに専門業者に修理を依頼しましょう。
- Qドレンホースの詰まりを予防するには、どうすればよいですか?
- A
ドレンホースの先端に専用のキャップや目の荒いネットを取り付けることで、虫の侵入を防ぎ、詰まりを予防することができます。
ドレンホースの詰まりは、エアコンの故障や水漏れの原因になります。日頃から予防を心がけ、快適なエアコン環境を維持しましょう。
エアコン室外機から水が出ない時の対処法まとめ
エアコンの室外機から水が出ない原因は様々ですが、この記事で紹介した5つの原因と対処法を参考にすれば、自分で解決できる可能性があります。
- 運転開始直後:
エアコンをオンにしてから20~30分程度様子を見ましょう。 - 室温が設定温度付近:
エアコンの設定温度を下げて、排水量が増えるか確認しましょう。 - 冷媒ガス漏れ:
エアコンの冷え具合や室外機の配管に霜がついていないか確認しましょう。 - エアコンが動いていない:
リモコンの電池や電源、室外機の動作を確認しましょう。 - 排水経路の詰まり:
ドレンホースの状態を確認し、詰まりやたるみを解消しましょう。
これらの対処法を試しても水が出ない場合や、自分で対処するのが難しい場合は、無理せず専門業者に相談することをおすすめします。
エアコンのトラブルを早期に解決し、快適な夏を過ごしましょう!